家庭用蓄電池の価格は値下がりする?
台風、地震、水害など、突然電気が止まってしまう天災に備えて、蓄電池の導入を検討する人も増えているといいます。しかし、蓄電池の価格は決して安いものではありませんし、需要が多くなればもしかしたら値下がりするかも?と、様子を見ている人もいるのではないでしょうか。家庭用蓄電池は今後値下がりするのか、さっそく検証してみます。
現在の家庭用蓄電池の価格相場は?
家庭用蓄電池はどのくらいの価格なのか、相場を見てみることにしましょう。
■容量5kWh前後の蓄電池の場合
本体価格が98万円~179万円程度で、1kWhあたりの価格は約15.1~32万円になります。
■容量10kWh程度の蓄電池の場合
本体価格は285万円程度、1kWhあたりの価格は約29万円です。
以上が家庭用蓄電池の価格相場ですが、これは蓄電池本体の価格であり、使用するためには他に工事費用が必要になります。また、蓄電池は容量が同じであっても、メーカーによって価格に差が出ることもあります。
家庭用蓄電池が値下がりする可能性は?
初期費用が高い家庭用蓄電池ですが、長い目で見ればお得になるといわれています。しかし、上記の数字を見ると導入はまだ決心できないかもしれませんよね。はっきりいって高いですから、もうちょっと安くなってから、下がってから検討してもよさそうな気はします。導入したすぐ後で、値下がりするのも悔しいものです。家庭用蓄電池が値下がりする可能性はあるのでしょうか?
値下がりするという予想もある
実は、定置型蓄電池のコストが2030年までに最大66%低下するという予想もあります。家庭用蓄電池も定置型蓄電池なので、もしこれが本当なら今よりも安く導入できることになりますね。この予想は、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が発表したデータにあるといいますから、信用できると思うでしょう。なぜ値下がりすると予想できるのか、それは世界的に化石エネルギーから再生エネルギーへの転換が行われ、それにともなって需要が増えること、さらに蓄電池の性能アップが期待できるからです。
でもそう簡単には値下がりしないかも
ドイツなど他国では蓄電池のコストが下がり、蓄電池を導入したほうが経済的にプラスになるという現象も起きています。ここまできたら、やはり値下がりするまで待った方が得だと思うかもしれません。しかし、そう都合のよい方向にはいかない、値下がりは難しいと判断できる材料が複数あります。その材料とは?次に説明していきましょう。
家庭用乾電池の価格が下がりにくい理由
日本以外の国では蓄電池が値下がりしているようですが、今現在の日本においては残念ながら下がりにくい状況だといわれています。日本で家庭用蓄電池の価格が下がりにくい理由について、詳しく説明していきましょう。
■蓄電池の需要が増えた
本来なら、商品は需要が増えることで価格競争が起き、価格が下がるのが市場原理です。ところが、今の日本において蓄電池の需要は増えているのに価格は下がっていません。なぜ価格が下がらないのかを説明する前に、まず蓄電池の需要がなぜ増えたのかについて説明しましょう。
最も需要を増やすことになったきっかけは、近年災害が多発していることです。地震や水害、台風などで電気がストップすれば、復旧までの期間電気無しの生活を強いられることになります。オール電化など、電気無しでは何もできないという恐ろしさを経験することで、非常用の電源を確保する必要を実感し、蓄電池を導入する家庭が増えることになりました。
「あれば安心」ではなく、「ないと不安」だと感じる人が増えている蓄電池ですから、価格が高くても確保したい、高くても売れるので値下げはしないという状況なのです。
■リチウムイオン電池に使われるレアメタルが高価
レアメタルとは希少金属という意味で、リチウムやコバルト、ニッケルなどを指します。希少な金属であり、採掘される国や地域が限られているため価格が高騰し、安定した供給が難しくなっています。レアメタルは家庭用蓄電池にも採用されているリチウムイオン電池の製造に欠かせない材料ですから、レアメタルの価格が下がらないことで、蓄電池も値下がりが難しくなるわけです。
■リチウムイオン電池の需要が多い
リチウムイオン電池は家庭用蓄電池だけではなく、電気自動車にも用いられています。二酸化炭素を排出しない電気自動車は、今後世界中で増産が見込まれていますから、当然リチウムイオン電池の需要も高まるでしょう。リチウムイオン電池の原材料であるレアメタルの問題もあり、リチウムイオン電池の価格が下がりにくく、家庭用蓄電池の価格も下がりにくいと考えられます。
家庭用蓄電池の価格は下がると予想されているものの、実際には値下がりする状況ではないようです。気長に値下がりするのを待ちたいと思う人もいるかもしれませんが、災害はいつ起こるか予想もできませんし、値下がりを待っている間に蓄電池が必要になる日が来ないとも限りません。引っ越しなど予定がある人は別ですが、災害のリスクに備えたいと考えているのなら、値下がりを待つよりも早めに導入を検討するのがおすすめです。