太陽光発電の電磁波は危険って本当?健康への影響と対策を徹底解説
太陽光発電を導入する家庭や施設が、全国で増えています。一方で、太陽光発電の電磁波に対する不安の声は少なくありません。とくに、小さな子どもや高齢者がいる家庭では、健康への影響が気になるところです。この記事では、太陽光発電システムの電磁波で健康に害はあるのか、また安心して利用するためのポイントや対策について解説します。
太陽光発電で電磁波は発生するのか?
太陽光発電は、太陽の光をエネルギー源として電気をつくる、再生可能エネルギーのひとつです。太陽光パネルのほか、接続箱やパワーコンディショナーなど、複数の電気機器で構成されています。電気を取り扱うこれらの構成要素からは、一部電磁波が発生します。
太陽光パネル
まず、太陽光パネル自体について見てみましょう。太陽光パネルは太陽エネルギーを直流電力に変える装置であり、電磁誘導の原理を使用していますが、太陽光パネル自体が電磁波を発生させているわけではありません。そのため、太陽光パネル単体の人体への影響は、極めて小さいといえるでしょう。
接続箱
太陽光パネルで発電された直流電流を、まとめて送る役割を果たしているのが接続箱です。この機器にも、電流を制御するための内部部品が搭載されていますが、健康への影響を心配する必要はほとんどありません。
ただし、接続箱は配線が集中する場所でもあるため、念のため設置位置を工夫し、日常的に長時間近くにいないような配置にするのが安心です。
パワーコンディショナー
パワーコンディショナーは、直流電力を家庭用の交流電力へと変換する装置で、変換過程で電磁波が発生するため、発電システムの中で電磁波の発生量が多いとされる装置です。とくに、コイルやコンデンサといった部品が、電気を蓄えたり放出したりする際には、電磁波を発生させます。
また、高速で電流を切り替える制御回路などでも、電磁波が発生します。したがって、太陽光発電システム全体で電磁波への対策を講じる際には、おもにパワーコンディショナーに注目する必要があるのです。
太陽光発電の電磁波は健康に害があるのか?
電磁波は目に見えず、音もにおいもないため、漠然とした不安を抱きやすい存在です。太陽光発電は、家庭の屋根に設置されることが多いため、システムからの電磁波について気になることもあるでしょう。太陽光発電によって発生する電磁波は、健康に悪影響を与えるのでしょうか。
電磁波は微弱で影響なし
結論からいえば、太陽光発電システムから発生する電磁波のレベルは非常に低く、現在のところ人体への有害性を示す科学的な根拠は確認されていません。
世界保健機関(WHO)や国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)といった国際的な専門機関も、長年にわたり電磁波と健康影響の関連性を研究してきました。そして、日常生活において発生する電磁波が健康に影響をおよぼす証拠はないと公表しています。
安全に太陽光発電を利用するためのポイント
太陽光発電システムは、再生可能エネルギーの代表格として広く普及していますが、設置の際には、電磁波の対策も少し検討してみましょう。電磁波の影響は極めて微弱であり、科学的に健康へのリスクは否定されています。
しかし、電磁波に対する感受性には個人差があり、なんとなく気分が悪い、頭痛がするように感じるといった主観的な訴えはゼロではありません。科学的に因果関係が証明されていなくても、不安や不快さを感じる方がいるのも事実です。少しでも安心して利用するためには、設置場所の選定や対策が求められます。
遠ざける
気分が悪い、頭痛がするなど、影響を感じる場合には、電磁波をできるだけ遠ざける工夫や、発生源から距離をとった設置を検討するとよいでしょう。たとえば、電磁波の発生源であるパワーコンディショナーを寝室や長時間滞在する部屋の近くに置かない、といった対策が有効です。
また、小さな子どもがいる家庭では、子ども部屋の近くに設置しないようにしましょう。子どもは、大人よりも電磁波への感受性が高い可能性があるため、設置場所に関してより慎重な判断が求められます。さらに、電磁波に対して敏感な電磁波過敏症の方がいる家庭では、設置前に専門家と相談し、最適な機器配置や電磁波対策を講じましょう。
遮蔽する
ほかに考えられる対策は遮蔽です。電磁波は、金属などの導電性の高い素材によって遮蔽できます。必要に応じて、電磁波を防ぐシールドシートや金属板などを生活空間との間に設置することで、さらなる安心感が得られるでしょう。
まとめ
太陽光発電システムは、クリーンな電力を生み出す、すぐれたエネルギー源ですが、構成機器のパワーコンディショナーから微量の電磁波が発生しています。現在の研究では、それらの電磁波が健康に悪影響をおよぼすという、明確な科学的根拠は確認されていません。したがって、日常生活において無視できるレベルですが、人によって頭痛や不快感のもととなることもあります。不安を感じる方は、設置場所を生活空間から離したり、遮蔽対策を講じたりすることで、より安心して導入できるでしょう。太陽光発電は、化石燃料を消費せず、二酸化炭素も排出しない、環境負荷が低い発電装置といわれています。正しい知識と適切な対処により、より安全かつ快適に活用できるでしょう。