エコでクリーンなエネルギー源として、太陽光発電はますます注目を集めています。しかし、この技術がどのようにして現在の形に至ったのか、その歴史に興味を抱く方も多いでしょう。そこでこの記事では、太陽光発電の歴史とその影響について詳しく解説します。太陽光発電に関する知識を深めましょう。

光起電力効果から最初の太陽電池へ

太陽光発電の起源は19世紀にアメリカで発明された太陽電池にさかのぼります。ここでは、太陽光発電発明の源となる太陽電池の歩みについて解説しましょう。

太陽電池生誕のきっかけは光起電力効果

太陽電池の誕生は、1839年にフランスの物理学者アレクサンドル・エドモン・ベクレルが光を当てると金属板に電力が生じることを発見したことに始まります。この現象は後に「光起電力効果」と呼ばれ、太陽光を電気に変換する基本原理となりました。

この発見により、界面でプラスとマイナスの電荷が生成されることがわかり、それを利用して半導体素材を使い、太陽光から電気を作る技術が生まれました。

最初の太陽電池はアメリカの人工衛星

最初の実用的な太陽電池が活躍したのは、1958年にアメリカが打ち上げた人工衛星「ヴァンガード1号」の時です。この衛星は、太陽電池を主な電源として使用し、20日間にわたって宇宙で作動しました。これは太陽光を電気に変換する技術の実用化の始まりであり、現代の太陽光発電の基盤となったのです。

日本における太陽光発電の拡大

日本で初めて太陽光発電が注目を集めたのは、1973年のオイルショックのときです。その後、1990年代に商業ベースで導入されるまで、さまざまな試行錯誤を繰り返しています。ここでは、日本における太陽光発電の拡大について解説しましょう。

1973年太陽光発電が注目を集める

1973年のオイルショックがきっかけで、世界は石油への依存を見直しました。このとき、日本政府は翌年の1974年に「サンシャイン計画」として知られる長期計画を発表したのです。この計画では、新エネルギー技術の研究開発が推進され、太陽光発電が風力や地熱エネルギーと並び重視されました。

その目標のひとつは、太陽光発電のコストを下げ、20年後には一般家庭でも利用可能にすること。こうして、太陽光発電はエネルギー政策の中心的な役割を果たすようになりました。

1993年住宅用太陽光発電が発売される

日本で初めて住宅用太陽光発電が市場に登場したのは1993年のことでした。しかし、その設置コストは4kWで約1,500万円という高額なものでした。このような高額な太陽光発電に対しては、融資制度が整備されましたが、補助金制度は一切なく、一般家庭での普及は難しい状況だったのです。

1994年補助金制度が開始される

1994年、日本では国内初の住宅用太陽光発電に対する補助金制度が導入されました。同時に、製造企業の技術革新も著しく進歩しました。これらの動きにより、太陽光発電の導入コストが徐々に低下し、普及率が上昇したのです。その後、導入量が増加し、設置コストも低下したことから、2006年度をもって補助金制度は終了しました。

2000年生産コスト低下から価格が下げられる

1999年、日本が太陽光発電の生産量で世界トップになりました。これにより、2000年以降、生産効率と性能の向上によって太陽光発電の設置コストが大幅に下がったのです。

また、2006年に一度中断された補助金制度が2009年に復活し、多くの家庭で太陽光発電が普及し始めました。こうした動きにより、太陽光発電はますます一般化し、持続可能なエネルギーの一部となったのです。

太陽光発電の普及を加速する政策と技術の進歩

日本における太陽光発電の普及を語るうえで、政府によるさまざまな政策と技術革新は欠かせません。ここでは、太陽光発電の普及を加速させた政策と技術の進歩について解説します。

2009年余剰電力買取制度

2009年に導入された余剰電力買取制度は、家庭などで発生した太陽光発電の余剰電力を、10年間にわたって電力会社に一定価格で売ることができる制度です。これにより、初期投資を回収するための売電収入が保証され、太陽光発電の普及が促進されました。2012年には固定価格買取制度へと移行しています。

2011年補助金「キャップ制」

2011年、太陽光発電導入に関する補助金制度に「キャップ制」が導入されました。この制度は、補助金の受給に上限を設けるものであり、より多くの家庭が太陽光発電を設置できるようにすることを目的としています。この取り組みにより、補助金の効果的な配分が図られ、太陽光発電の普及が促進されました。

2017年固定価格買取制度（FIT法）の改正

2017年に固定価格買取制度（FIT法）が改正されました。この改正の目的は、国民負担の軽減や太陽光発電の導入を均衡させることです。この制度が導入されて以来、太陽光発電の年平均伸び率は約29％に達しました。

ただし、再エネ賦課金で財源を確保しているため、太陽光発電の急速な普及により国民の負担が増加しています。この改正は、この負担を抑え、導入のバランスを取るために行われました。

太陽光発電の技術革新

太陽光発電の技術革新は多岐にわたります。透明な太陽光パネルやペイント型太陽光発電、折り曲げ可能なフレキシブル太陽光パネルなどがその一例です。また、人工知能やIoT技術を活用したシステムも登場し、発電量や消費量を最適化します。

これらの進歩と設置コストの低下により、太陽光発電の普及が急速に進んでいるのです。将来的には、さらなる価格低下が期待され、太陽光発電がより一般的なエネルギー源となる可能性があります。

まとめ

太陽光発電は、光起電力効果の発見から始まり、技術の進歩と政策の支援によって急速に普及してきました。日本では、政府のリーダーシップの下で太陽光発電の導入が進み、再生可能エネルギーの主力となっています。さらに、技術革新により太陽電池の効率が向上し、コストが低下しているのです。これにより、太陽光発電は持続可能なエネルギー源としてますます重要性を増しています。今後は、さらなる技術革新や政策の改善によって、太陽光発電の普及が加速し、地球環境の保護に貢献することが期待されるでしょう。

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