オンサイトPPAとは、企業が敷地内に再生可能エネルギー源を設置して、電気を買い取るシステムです。いま注目されている太陽光発電を、初期費用ゼロで導入できるメリットがあります。今回の記事では、オンサイトPPAの仕組みやメリットについて説明しましょう。また、オンサイトPPAの料金体系についても解説します。

「オンサイトPPA」とは

近年は環境保護が世界的な課題となり、再生可能エネルギーの活用が求められています。環境に優しい太陽光発電への需要が高まり、オンサイトPPAも近年注目されてきました。まずは、オンサイトPPAとはどのような仕組みなのか説明しましょう。

オンサイトPPAの基本概念

PPAとは、英語で電力購入契約を意味するAgreement Purchase Powerの略です。

また、発電事業者はPPA事業者とよばれています。PPA事業者は、需要家の敷地内に太陽光発電システムを設置します。需要家は、電力を必要としている企業などのことです。

つまり、企業がビルや工場の屋根などの自社スペースを貸して、PPA事業者が再生可能エネルギー電源を設置します。太陽光などによって発電した電気は、そのまま需要家へ販売されます。

なお、太陽光発電設備などのメンテナンスや管理は、PPA事業者が担当可能です。また、需要家は使用した電気量に応じて、PPA事業者へ電気料金を支払います。

もしも電力が不足した場合は、電力会社から電力を購入します。その反対に、発電した電力が余った場合は、PPA事業者が電力会社へ販売できます。

なお、オフサイトPPAでは、需要家の敷地外に発電設備を設置します。そして、送電線を利用して電気を需要家のもとへ送る仕組みです。

初期費用ゼロ

オンサイトPPAでは、太陽光発電設備の設置費用はPPA事業者が負担します。

つまり、需要家は初期費用を負担する必要がありません。需要家はサービス料金として、月額や年額の電気料金を支払います。需要家は最初に大きなコストを払わずに、発電した電力を利用できる仕組みです。近年では原油高騰により、電気代も上昇しています。

しかし、オンサイトPPAを活用すれば、電気代の負担を抑えられることが魅力です。

オンサイトPPAのメリット・デメリット

ここではオンサイトPPAのメリットとデメリットを順番に解説しましょう。

オンサイトPPAのメリット

まず大きなメリットとしては、初期費用が不要です。また、契約期間中のメンテナンスはPPA事業者が対応します。面倒なメンテナンス作業の必要がないので、需要家にとっては安心でしょう。

また、近年では原油価格の高騰に伴い、電気料金の高騰が続いています。通常の電気料金には、託送料、燃料費調整額、再エネ賦課金が上乗せされます。しかし、オンサイトPPAを利用すると、これらの料金は基本的に支払う必要がありません。

そのため、市場の価格変動の影響を受けずに、再生可能エネルギーを確保できます。また、オンサイトPPAを利用することで、二酸化炭素削減にも貢献可能です。近年ではSDGs達成に向けて、各企業が環境活動に取り組んでいます。

そのため、すでに国内でもオンサイトPPAを導入する企業が増えています。

また、オンサイトPPAは、さまざまな補助金制度の対象となっています。PPA事業者が補助金を利用できますが、結果的に需要家は電気料金を抑えられるといったメリットが期待できます。

オンサイトPPAのデメリット

オンサイトPPAでは、需要家の敷地内に太陽光発電設備を設置します。

そのため、そのスペースは自由に使えなくなることがデメリットです。敷地や施設の利用に制約が生まれてしまいます。小規模な電源設備しか設置できない場合は、期待している電力量を発電できない可能性もあります。

ただし、空きスペースを有効活用するために、工場の屋根部分に太陽電池パネルを設置している企業もあります。電池パネルを屋根に設置することで、遮熱効果もあります。

また、オンサイトPPAは10～25年の長期契約が基本で、契約中は電源設備を自由に交換できません。さらに、PPA事業者が負担していたメンテナンス費用が、契約終了後は自己負担となることにも注意が必要です。

オンサイトPPAの料金体系について

オンサイトPPA導入を検討する際は、費用面が気になるところです。ここでは、オンサイトPPAの料金体系について説明しましょう。オンサイトPPAの料金体系は従量課金制です。

また、電力料金は契約時に決定し、使用した電力量に応じて料金を請求されて支払う仕組みです。原油価格の変動による値上げの心配はなく、支出の見通しを立てやすい仕組みといえます。さらに、契約期間中は修理費用などを負担する必要がありません。

まとめ

近年では地球温暖化対策が急務となっています。日本では法律によって、2050年までの脱炭素社会の実現を基本理念として定められました。実際に、多くの企業が環境保護のために太陽光発電を導入しています。オンサイトPPAでは、PPA事業者が再生可能エネルギー電源を需要家の敷地内に設置します。そして、需要家は使用量に応じた電気料金をPPA事業者へ支払う仕組みです。初期費用ゼロで導入でき、設備のメンテナンスもPPA事業者に任せられます。再生可能エネルギーを長期的に確保でき、脱炭素社会の実現に貢献できるでしょう。

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